【DS4 試乗】爆発する個性とギャップのある走り。異端を求めるなら最適な1台
掲載 carview! 文:小林 秀雄/写真:編集部 23
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――フレンチ・プレミアムを標榜するDSオートモビルズが、世界の主流マーケットであるCセグメントに投入した「DS4」。アバンギャルドなデザインに目を奪われがちだが、その走りはどうか。短時間の試乗ながら、その味と個性を探る。
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DSオートモビルズが単独のブランドとしてシトロエンから独立し、早いもので9年が経とうとしている。シトロエンから「アバンギャルドなフレンチ・プレミアム」というイメージを抽出して磨きあげた現行DSのブランド性は、月日とともに着実に洗練されてきた。
ただ、欧州と並んで最重要マーケットに位置付けられた中国でのセールス不振が続き、コロナ禍の影響もあって、先行きが順風満帆とはいえないのも事実。そんな中でDSが世界的主流のCセグメントに新たに送り込んだ刺客が新型「DS4」だ。DSにとっては、まさにブランドの浮沈を占う基幹モデルと言っていいだろう。
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日本では22年4月に発表されたDS4は、「DS7クロスバック」、「DS3クロスバック」、「DS9」に続くDSオートモビル第4のモデル。シトロエン時代にも同名のモデルが存在したので、その後継車種と捉えることも可能だ。
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新型DS4に採用されるのは、第3世代に進化した最新の「EMP2プラットフォーム」。パワートレインも1.2L直列3気筒ガソリンターボ、1.5L直列4気筒ディーゼルターボ、そして1.6Lの直列4気筒エンジンとフロント電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド「E-TENSE」と多彩だ。トランスミッションは全車に8速ATを組み合わせる。
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ボディサイズは全長が4415mm、全幅が1830mm、全高が1495mmと、Cセグとしては全長が長い一方、全高はグッと低く抑えられている。真横から見たシルエットはコンパクトなクーペSUVと形容したくなるもので、各パネルの面構成を彫刻的に仕上げるDSの流儀も貫かれている。
ダイヤモンドをモチーフにしたヘッドライトの「DSマトリクスLEDビジョン」、デザインの一部としても機能するポップアップ式のドアハンドル、高級時計の文字盤に端を発する「クル・ド・パリ文様(小さなピラミッド型の突起がいくつも刻まれた文様)」の加飾などなど、内外装も個性が爆発。
ナビやオーディオのショートカット操作に使う5インチタッチスクリーン、風向きを調節するエアコンパネルの菱形コントローラーなどは、所作を会得するのに少々時間を要する難解さだ。
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試乗したのは1.2Lガソリンターボ。走り出しは見た目の派手さに反して、ごくごく穏当。もちろん必要十分なトルク感は得られるものの、レスポンスを重視する向きには1.5Lディーゼルやプラグインハイブリッドの方がマッチしそうだ。
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より印象に残ったのは、丸みのある乗り心地。さすがはプジョー・シトロエン各車で熟成を行ってきたEMP2プラットフォームの最新版だけあって、路面のざらつきや凹凸から伝わるショックをうまく吸収し、その振動がドライバーに伝わる頃にはすべての角が取れている。
とにかく乗る人に不快な思いを抱かせないことに重きを置いた足回りのマナーが、これまたキラキラした見た目とのギャップとして強く印象づけられた。
それは主要グレードに標準装備される「DSアクティブスキャンサスペンション」の効果でもあったのだろう。カメラで路面をスキャンして減衰力をリアルタイムで電子制御するシステムだが、その恩恵はしっかりと体感することができた。
また、全車標準装備の「アクティブクルーズコントロール」も実用的。ステアリングスイッチのイラストが何を意味しているのかわかりづらいという難点はあるが、それもまたDSらしさと後になれば笑い飛ばせるほどの直感操作性を備えている。
はっきり言ってしまえば、DS4は決して万人受けするクルマではない。だが、Cセグメントという誰もが欲しがるボリュームゾーンで、それでも人とは違うクルマに乗りたいという矛盾した願望には、間違いなく応えてくれるだろう。そう、DS4は誇り高き王道の異端なのである。
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